今回は名前を聞いてもピンとこないですが、見れば納得するカレンデュラの解説をします。
主な作用と成分
カレンデュリン
カレンデュラに含まれる、傷ついた皮膚を治す創傷治癒作用があります。
苦味質
その名前の通り、口に含むと苦い成分のことで、アルカロイドやフェノール化合物などの成分がこれに該当します。しかし、この苦味が消化液や胆汁の分泌を促して、消化管の機能を活発にします。
サポニン
この成分は配糖体という形で存在していて、糖とそれ以外がくっついている物質を指し、古代ギリシャ語の石鹸を意味する「Sapo」が語源です
水面に入れると持続性の泡ができ(界面活性作用)、咳を鎮めたり、炎症を抑えたりする作用があります。
特徴
高さ50センチほどの明るいオレンジ色の花をつけるハーブで、日本では仏花や花壇の花として親しまれています。
各種利用法
料理
料理の色付けでサフランの代わりに使えるほか、サラダに花をちぎって散らせば見栄えも良くなります。
健康
このハーブは、傷ついた皮膚を治す作用があるほか、ビタミンAやサポニンといった成分を含み、炎症を和らげたり、咳を鎮めたりする効果があります。また、万能軟膏の異名があり、一つ作って置くと、ちょっとした傷やかゆみなどに使えます。
歴史
古代ギリシャ、ローマ時代では食品、染料、化粧品など、様々な使われ方をされ、当時の人々は、「家に幸せを運ぶ花」として婚礼の席に飾ったそうです。
インドでも古くからカレンデュラを崇め、寺院の祭壇や神殿に飾っていました。主な理由として、その黄金色の花には守護の力が宿っているとされたからです。
メディチ家の家紋
16~17世紀フランスの王妃、マリー・ド・メディシスはこの花を気に入り、自身の紋章としました。
その他の品種
フレンチ・マリーゴールド
- フランス原産の観賞用品種。フランスから世界に広がったためこの名前が付きました。
学名:Calemdula offichinalis
Calendula
月の初めという意味です。
offichinalis
薬用のという意味になります。
あとがき
今回はあまり聞きなれないですが見れば納得するハーブ、カレンデュラについて紹介しました。かすり傷や軽い不調に効くハーブですので、このハーブを使った軟膏などを手作りしてみてはいかがでしょうか。
参考文献
- ハーブのすべてが分かる辞典 ジャパンハーブソサエティー ナツメ社
- ハーブティー辞典 佐々木薫 池田書店
- ハーバリストのための薬用科学 アンドリュー・ペンゲリー フレグランス・ジャーナル社
- ハーブの歴史百科 キャロライン・ホームズ 原書房
- ハーブの歴史 ゲイリー・アレン 原書房
- ハーブと精油の基本事典 林真一郎 池田書店
- 英国流メディカルハーブ リエコ・大島・バークレー 説話社
- New Herbal ハーブ大全 リチャードメイビー 小学館
著:白鴉マキト