今回は、サリチル酸について解説します。
目次
サリチル酸の特徴
サリチル酸はカルボキシル化したフェノールのことで、ベンゼン環に水酸基とカルボキシル基が結合した化合物です。
植物のなかでは遊離(他の化合物とくっつかないで単体で存在すること)状態では滅多に見られず、通常は配糖体や塩類として存在しています。
サリチル酸の誘導体
・ サリシン:柳の樹皮
・ ポプリン:ポプラの樹皮
・ゴルテリン:ウィンターグリーン
アスピリンとサリシン
アスピリンはサリチル酸を合成した化合物ですが、天然のサリチル酸はアスピリンの後の時代、1938年にメドウスウィートから単離抽出されました。
1860年のドイツ人科学者コルベがサリチル酸を合成しました。その後1899年にバイエル薬品が人工的に作ったサリチル酸を合成し、アセチルサリチル酸、つまりアスピリンの合成に成功しました。
人間の体内での変化
サリシンなどの配糖体は腸内細菌の力で分解され、サリチルアルコールに分解されます。そこから血流や肝臓を経由して、サリチル酸に変化します。
アスピリンとサリチル酸の特徴
アスピリンはシクロオキシゲナーゼをアセチル化させることで、プロスタグランジンの生成を抑制します。
サリチル酸は中枢神経の低下作用と解熱作用があり、この事から神経痛や座骨神経症、筋肉痛、頭痛に使用されています。
プロストグランジン
人の体に多く存在する不飽和脂肪酸の1種で、血圧の調整や炎症、胃液分泌などに関与しています。
シクロオキシゲナーゼ
不飽和脂肪酸の1種アラキドン酸をプロストグランジンに変換するときに使われる酵素で、1型と2型があり、前者は血小板内に、後者は炎症を起こした組織に見られます。
アスピリンの注意点
シクロオキシゲナーゼ1型を抑制する作用は、血液をサラサラにする効果もありますが、出血や胃の炎症などを引き起こしてしまうこともあるので、注意が必要です。
まとめ
サリシンは体内にはいるとサリチル酸に変化して、良い影響を及ぼします。
アスピリンも同様な効果がありますがこちらは出血のリスクがあるので使用には十分気を配りましょう。
あとがき
今回はサリチル酸について解説をしました。
アスピリンに限らず、植物から抽出された成分は、今でも医療や生活に役立っており、植物無しに人間は生きていけないことを知る良い機会となりました。
この記事を読んでくださった方は、身近にどんな植物が使われているのか調べてみてはいかがでしょうか?
今回の記事はここまでです。また次回の記事でお会いしましょう。