今回解説するのは、ハーブの成分でよく出てくるテルペン類についてです。
目次
テルペン類とは
植物内の中で活発に活動する化合物で、知られているだけでも約2万種を超えます。これらはイソプレン(炭素数5毎)に分類でき、これらはメバロン酸経路で生合成されます。
また、この化合物は結合する時に頭と尾で結合する、「頭尾結合」という形態を取ります。
続いて、テルペン類の分類について解説します。
テルペン類の分類
テルペン系化合物はそれぞれの化合物が持つ、イソプレンの数によって分類されます。
モノテルペン(C10H16)
エッセンシャルオイルやメントール、イリドイド配糖体など
セスキテルペン(C15H8)
苦味物質等
ジテルペン
樹脂酸、苦味物質など
トリテルペン
サポニン類、ステロイド類など
テトラテルペン
カロテノイド類など
ポリテルペン類
ゴム類など
次に、分類したテルペン類の特性と作用を簡単に紹介していきます。
モノテルペン
エッセンシャルオイルに含まれる代表的な化合物で、ユーカリに含まれるシネオールなどが該当します。
イリドイド類
苦味のある物質で、主にシャクヤクに含まれるパエオフリンという物質は、抗炎症、鎮静、解熱、鎮静作用があります。
セスキテルペン類
精油成分にも存在し、植物が菌類や外敵から攻撃されたときの防衛手段の一つとして進化シたと考えられています。
カマズレン・ビザボロール
主にジャーマンカモミールとローマンカモミールに含まれる成分で、抗炎症作用や鎮静作用に優れています。
カモミールについての記事もありますので、興味のある方は是非次のリンクからどうぞ。
http://herbainformationstore.com/2020/01/01/%e3%82%ab%e3%83%a2%e3%83%9f%e3%83%bc%e3%83%ab-%ef%bc%88chamomile%ef%bc%89/
http://herbainformationstore.com/2020/01/02/%e3%83%ad%e3%83%bc%e3%83%9e%e3%83%b3%e3%82%ab%e3%83%a2%e3%83%9f%e3%83%bc%e3%83%ab-chamamelum-nobile/
ゴシポール
綿から取れる化合物で、中国では男性用の避妊薬として使われていますが、回復不可能な程の有害な副作用を引き起こすため、使用は制限されています。
パルテノライド
キク科の植物、フィーバーフューに含まれるテルペン類で、片頭痛や予防の効果が高く評価されています。
アルデミニシン
スイートワームウッドに含まれる成分で、マラリアの治療薬として使われています。また、最近の研究や臨床実験で、抗腫瘍作用があることがわかりました。
アレルギー性接触皮膚炎について
セスキテルペン類を含む植物、特にアルニカのチンキ剤を皮膚に直接塗った際、水泡を伴って腫れてしまうので、セスキテルペン類を含む植物の扱いには十分に注意しましょう。
ジテルペン類
この化合物は、あらゆるテルペン類の中で最も苦味が強い成分で、健胃作用や賦活作用、つまり消化器系を元気にしたり、身体を元気にする働きがあります。
フォルスコリン
シソ科に多く含まれる成分で、作用としては抗ウィルス、抗高血圧、気管支拡張、心筋の収縮、眼圧の低下など多岐にわたります。
タキソール
イチイの仲間、タイヘイヨウイチイに含まれる成分で、この成分は子宮頸がんや乳がんに処方される薬の材料になります。
アンドラグラホライド
インド原産のハーブ、アンドログラフィスというハーブに含まれ、古くから肝臓や消化器官の不調に用いられ、現代科学で効果が証明されました。後の研究で細菌性及び呼吸器系への免疫機能向上作用があると証明されました。
テトラテルペン類
果実や野菜の黄色や赤の色素成分の総称で、よく聞くリコピンやカロテンなどが該当します。
リコピン
トマトに含まれる成分で、血液中のこの成分濃度が高いと、動脈硬化のリスクを減らせることができます。加えて強力な抗酸化作用があり、体内の活性酸素の除去に一役買っています。
あとがき
今回はテルペン類について解説しました。
内容が専門的なため、専門用語が多くなってしまって申し訳ありません。
今回の記事はここまでです。またの記事でお会いしましょう。