今回解説するのは、トリテルペノイド類とサポニン類がどのような効果があり、どんな薬効があるのかを紹介していきます。
目次
トリテルペノイド類とは何か
この成分は、鮫の肝臓から抽出された成分で、以前解説したテルペン類の一種です。テルペン類についてはリンクを貼っておくので参考にしてください。
http://herbainformationstore.com/2020/03/19/terpenes/
この成分はテルペン類と同じメバロン酸経路で生合成され、C30のスクワレンという物質が前駆物質となります。
テルペン類との違いは、イソプレン単位(C5単位)で分割出来ず、トリテルペノイドはC27の骨格を形成するという点があります。
簡単に言ってしまえば5で割りきれる炭素を持つ化合物はテルペン類で、27の炭素数を持つのはトリテルペノイド類ということです。
続いて、これらの代表的な成分を紹介します。
植物ステロール類
この成分は、細胞膜に欠かせない物質で、腫瘍の増殖を押さえる効果や血中コレステロール値の調整を助ける働きがあります。次に、代表的な成分を簡単に紹介します。
ステロイド性ラクトン
インドの伝統医学アーユルヴェーダで使われるアシュワガンダというハーブは、抗腫瘍作用や肝臓保護作用のほか、強壮作用に優れています。
スティグマステロール
パンプキンシードやネトルの根に含まれる成分で、良性の前立腺肥大に関係する酵素へ強い抑制作用があることが分かりました。
ググルステロン
この成分はミルラ、日本名で乳香、インドではグッカルと呼ばれるハーブの樹液に含まれている成分で、甲状腺の働きを刺激して血中コレステロールを減少させる働きがあります。
サポニン類
こちらの化合物は、水に加えて揺り動かすと、泡ができます。このようすから、ギリシャ語で石鹸を意味するsaponinnが語源となりました。続いて、サポニンの薬効及び専門書などに載っている成分を簡単に解説します。
トリテルペノイドサポニン類
リコリスに含まれるグリチルリチン酸、チョウセンニンジンのジンセノサイド、ナツメに含有するジュジュボシドは、オレアナ型環状構造と呼ばれる骨格を持ち、その多くはオレアノール酸をふくんでいます。効能としては、血圧の降下が期待できます。
ステロイドサポニン類
これらはトリテルペノイド同様、メバロン酸経路から生合成される物質で、ジオスゲニンやヘコゲニンといった物質は、性ホルモン、ビタミンDなどの前駆物質などになります。主にヤマノイモやヘロアニスというハーブに多くは含まれます。また、ステロイドサポニン類は以下のように分類されることがあります。
モノモデスモシド型サポニン
糖部とアグリコンが水酸基1個で繋がっています。
ビスデスモシド型サポニン
糖部とアグリコンが水酸基二個以上または、一つの水酸基とカルボキシル基で繋がっています。
サポニン類の薬効
多くのサポニンは、抗炎症作用のほか、肝臓保護作用があります。
先程も書きましたが、界面活性作用があり、赤血球の膜組織の透過性を高め、溶血反応を起こし、血流にヘモグロビン流入による貧血や腎機能不全を招く恐れがあるので、サポニンを注射した際は、十分に気を付けましょう。
続いて、これらの化合物の代表的なものをご紹介。
ジオスシン
ヤマノイモに含まれる成分で、胆汁の生成の増加や便の排泄の増進をもたらします。また、食事からのコレステロールの吸収を減らす働きがあります。
モノモデスモシド型サポニン
コモンアイビーに含まれていて、抗真菌作用や病原性菌類の抑制作用があります。
強心配糖体
これらは毒草で知られるジギタリスの仲間に多く含まれ、扱いを間違えると死に至る植物ですが、心臓の薬の原料になります。
強心配糖体の主な作用
この配糖体には以下のような効果があります。
- 心筋の収縮や収縮スピードを上げる
- 心臓の活動を活発にする
- 心房や心室の筋肉の興奮を増大させる
- 心筋の刺激感応度を高める
毒性について
胃腸症状(吐き気、嘔吐、下痢)、視覚症状、神経症状(頭痛、神経痛、眠気)心臓の機能不全の悪化、不整脈などの血管症状が挙げられます。
遊離のテルペン類
苦味のある物質で、他の成分とくっついていないテルペン類です。特にカレンデュラから抽出されたファラジオールモノエステルは、強力な抗炎症作用があります。カレンデュラの記事もあげてあるので、以下のリンクをからどうぞ
http://herbainformationstore.com/2020/01/04/%e3%82%ab%e3%83%ac%e3%83%b3%e3%83%87%e3%83%a5%e3%83%a9/
お次は遊離のテルペン類の一部をご紹介
ガノデリン酸
大型のキノコ類から抽出され、ヒスタミンの放出を抑えるほか、肺や血中にある酵素を抑制するという効果もあります。
ポーリアチン
こちらもキノコから抽出されたテルペン類で、免疫機能の調整や抗ウィルス作用、免疫抑制作用があります。
あとがき
今回はサポニンとトリペルノイドについて解説しました。
毒も薬も使い方を間違えなければ健康に役立ちます。常々この記事では書いていますが、ハーブは薬と同じように扱わないと非常に危険ですので、使用する時は慎重に。
今日の記事はここまでです。またの記事でお会いしましょう。