今回は、日本では野菜でおなじみのバードック。いわゆるごぼうについての解説をしていきます。
目次
主な成分:イヌリン
不溶性食物繊維の一種で、腸内環境を整えるほか、腸内細菌の餌となります。
特徴
高さ2mまで伸びる大型の多年草で、直立して分岐します。葉はふきのように大きく、裏側はびっしりと毛が生えています。栽培品種は根の直径が3cm、長さ1mほどまで成長するのが特徴です。花はアザミに似た球形の頭花で、枝先や葉のわきに生えます。
北ヨーロッパが原産で、荒れ地や生け垣などでも見られます。根や若葉、果実は薬用として世界で使われていますが、野菜として根を食べるのは日本などの少数派の国々です。
主な利用法
料理
根はキンピラやかき揚げ、スープなどに利用されます。日本では煮物に欠かせない一品です。最近はごぼう茶なるダイエット茶が流行していますね。
健康
浄化作用が強く、湿疹や蕁麻疹、感染、ニキビ、おできや腫れ物といった乾燥、脂性肌両方の皮膚疾患に活躍します。
関節炎、リウマチにもネトルと一緒に摂ることで効果的なほか、消化不良や便秘、鼓腸といった腸のトラブルにも有効とされています。
歴史
日本に伝わったのは中国からとされ、縄文時代初期の貝塚からは植物遺存体が見つかっています。
記録として残っているものは平安時代に編纂された「倭名類聚抄(わみょうるいじゃしょう)」で、当時の呼ばれ方は「岐多岐須(きたきす)」、「宇末布々岐(うまふぶき)」と書かれていましたが、中国の読み方は「悪実(アクジツ)」や「牛蒡子(ごぼうし)」と読んでいました。その後、日本での従来の和名でなく、「牛蒡」が使われるようになりました。
今日ハーブ療法で使われているのは根ですが、かつては消化不良のときには葉を、肌を柔らかくするのに種子が使われていました。
偉人とハーブのエピソード
17世紀のイギリスを代表するハーバリスト、ニコラス・カルペパーは便秘や感染による熱、尿路結石の治療にごぼうの根を使っていました。
ウィリアム・シェイクスピアは植物にとても詳しく、芝居の台詞に多くの花やハーブを取り入れています。以下「トロイラスとクレシダ」の台詞の一部の抜粋です。
棘のあるものを投げつけてやれば、くっついて離れないぞ。
ウィリアム・シェイクスピア
学名:Avctum lappa
読み方:アウクトゥム ラッパ
Avctum
ギリシャ語のarktos「熊」に由来します。
lappa
牛蒡のラテン語名です。
あとがき
今回はごぼうについての解説をしました。
日本では野菜としての利用が主ですが、世界的には薬草としての側面が強いということを知れたハーブでした。
少しでも多くの人がハーブの魅力に気がついてくれるよう尽力していきます。
今回の記事はここまでです。またの記事でお会いしましょう。