今回解説するのはカモミールにそっくりなハーブ、フィーバーフューです。
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Tanacetum parthenium
読み方:タナセトゥム・パルスェニウム
頭痛の予防に使われることの多いハーブで、ハーバリストの処方では他のハーブと一緒に使われることが多いです。
花壇に咲き誇るマーガレットの仲間で、古くから頭痛の緩和に利用されてきました。
高さは50~60cmまで成長し、黄緑色の葉は羽のような形で深く裂け、茎の先に、カモミールに似た花を付けます。
観賞用の品種は多くありますが、薬効があるのは、原種のみです。
各種利用法
健康
生理痛や月経不順、神経系の強壮、消化促進から肝機能の強化など、様々な症状に利用できるほか、関節炎や花粉症にも活躍します。
栽培
日当たりの良い水はけの良い土を好み、春に種まき、株分け、挿し木で増やすことが可能です。また、昆虫を遠ざける効果があるため、果樹やハチの巣箱の近くには植えないようにしましょう。
クラフト
乾燥させた葉を衣類の間に入れれば、虫を予防します。
歴史
古代ギリシャ時代から頭痛、発熱、リウマチ性の炎症に利用され、1660年代の中世の時代に入ると、イギリスの医師たちの間で、「全ての頭痛に対し、非常に効果がある」と考えられていました。
かつてイギリスではロンドンの薬売りが独特の声でこのハーブを売り歩いていました。現在でも咳止めのシロップにフィーバーフューが使われているほか、除虫剤、駆虫剤、殺菌剤に用いていました。
英名「フィーバーフュー」の語源は、ラテン語の「熱病」、「追放する」を意味する合成語「febrifugo」の英訳で、その薬効にちなみます。
偉人のハーブエピソード
イギリスのハーバリスト、ジョン・ジェラードは自身の著書の中で、うつや気持ちが沈んでいる時に乾燥させたフィーバーフューのハーブティーが有効であると記録に残しています。また、ニコラス・カルペパーも「風が原因の頭痛に効く」として勧めていました。