今回解説するのは、様々な用途があるモミの木についてです。
Abies firma
読み方:アビエス・フィルマ
ヨーロッパもみの木の多くは、木材、樹脂の原料として経済上重要な植物です。かつてはテルピンオイルの原料として1778年のロンドン薬局方に乗っていましたが、他のマツ類に取って代わられました。
かつてはクリスマスツリーの元祖でしたが、ドイツトウヒに変わって、薬用効果も否定されてしまいました。
各種利用法
薬用
殺菌、利尿作用に加え、去痰、血行促進の効果があります。風邪と咳の症状に使われるほか、内服及び外用薬に使用されます。また、下痢止めの内薬特許製剤も、モミの木から作られています。
外用薬としては、リューマチ、関節炎の入浴剤や塗布剤、口腔洗浄剤として利用されています。
伝統的な使われ方として、カナダバルサムという品種は、胸部の感染症、性病、傷、火傷の治療薬として使われます。
実用
モミの木から採れるオレオ樹脂は、顕微鏡のプレパラートの接着剤として使われます。また、精油は虫歯の穴埋め剤、石鹸、化粧品、香水などの定着剤や香料、加工食品の香味料など、多岐にわたります。
栽培
寒さに強く、日向か日陰で水はけが良く、深く根を張れる弱酸性の土地を好みます。繁殖には春に種をまくか、若木を挿し芽にしましょう。若木のときはアルカリ性の土壌にも耐えられます。手入れは春に次々に出る脇芽を取り、頂点の成長点だけを残しておきましょう。
耐寒性はありますが、春の遅霜で痛むことがあり、日光の当たる場所よりも、明るい日陰のほうが被害を軽減できます。
害虫及び病気
- 樹液を吸う、カサアブラムシ
- 菌性の立ち枯れ病、さび病
- 大気汚染によわいです。
収穫
若葉、葉は春に積み、樹皮は随時剥ぐ事ができます。樹脂は樹齢60~80年のものに穴を開けて集め、蒸留することで入手できます。オレオ樹脂は夏に噴出する泡を集めて蒸留しましょう。
あとがき
今回はモミの木について解説しました。
モミの木はクリスマスツリーというイメージしかなかったため、ハーブとしての側面もあることを知り、まだまだハーブの世界は奥が深いと感じました。
今回の記事はここまでです。またの記事でお会いしましょう。