今回は過去記事のリメイク版ということで、マロウについて改めて解説していきたいと思います。
目次
Comon Mallow
特徴
直立してよく分岐する枝に長さ6~8cm程度の葉を持ち、手のひら状で浅く裂けています。初夏から夏にかけて濃い紫色の筋にピンクから赤紫の五弁花を咲かせ、非常に派手な見た目となっています。
学名をMalva Silbestiris(マルウォ・シルベスティリス)といい、Malvoは「軟らかくする」を語源とし、植物の持つ粘液に緩和剤があるという事を指しており、Sylvestirisは「森林性の・野生の」という意味で、合わせて森林性の軟らかくする作用を持った植物ということになります。
各種利用法
利用部位:葉・根・花
料理
若葉は生で食べられるほか、肉の付け合せやスープ、茹でてバター炒めなどにしてもオススメです。花も可食でき、エディブルフラワーに利用することができます。
薬用
花の浸剤や煎剤は湿布剤として利用することができ、根は粘液質が豊富なため、感染症を防ぐのに役立ちます。咽頭粘膜の乾燥を防ぎ、喉の痛みや咳を抑えるのにも役立ち、タバコの吸いすぎなどにも有効です。また、根を粉末にしたものは口腔消毒液にもなります。
神経を鎮める鎮静作用や、前述した腸・胃などの粘膜を保護する作用もあることから、ストレスで弱った消化器系や呼吸器系を修復してくれる効果が期待できます。
ハーブティー
熱湯に注ぐと鮮やかな青い色のため、「マロウブルー」と呼称されます。さらに面白い特徴として酸性のものを加えることでピンク色になります。この仕組は学校で習ったリトマス試験紙と同じ反応ですね。
この色が変わる様子からゲストに出した時に驚かせることが出来ることから「サプライズティー」、青い色を夜に見立て、ピンク色を朝焼けの色と表現した「夜明けのティザーヌ」なんて呼ばれることもあります。
栽培
直根性のため移植を嫌います。なので、種を直まきするか、挿し木や株分けで増やしましょう。また、こぼれ種でも増えるほど丈夫です。
歴史
日本にいつ頃来たのかは定かではありませんが、江戸時代の植物図鑑「草木図説」に記載されていることから、江戸時代の中期頃に渡来したと考えられています。
Marsh mallow
特徴
ビロードアオイ属の耐寒性多年草の一種で、コモンマロウと使い方はほぼ一緒です。大きな違いは花を煮出しても青くならず、こちらは薬効成分が根に集中している点です。
茎や葉には綿毛があり、こちらも手のひら状の葉と大きな切れ込みがあります。そして、花の色はコモンマロウと違い薄い桃色で、7月から9月に咲きます。
学名をAlthea offichinarisu(アルテア・オフィキナリス)といい、Altheaは「治療」を意味する古代ギリシャ語Althainoに由来し、offichinalisは「薬用の」という意味で、合わせると治療のための薬用植物となり、この植物の薬効が伺いしれますね。
各種利用法
利用部位:葉・花・根
料理
コモンマロウと同じように若葉をサラダや天ぷらにして食べることができます。根を煮出してハーブティーにすることで喉の痛みや不眠症の解消に役立つとされています。
かつてのマシュマロは、この根を粉末状にして水に溶かして砂糖で甘味を付けたゼリー状のものを指していました。
薬用
根の粉末は便秘に内服することができ、このハーブで作ったローションはクリームに混ぜて肌トラブルや炎症、捻挫、虫刺され、筋肉痛に用いることができ、煎剤は腰湯や膣洗浄、浣腸に利用でき、うがい薬は粘膜保護作用に優れているため咳や気管支炎に効果的です。
葉も薬用に優れ、浸剤として使えば目の痛みを和らげる洗眼液、新鮮な葉をつぶしたものは温湿布に利用できます。簡単にまとめると、根は消化器系、葉は泌尿器系や呼吸器系のトラブルに用いると良いです。
Musk Mallow
特徴
花にわずかな麝香のような香りがするためムスクマロウと名付けられました。全草が無駄なく利用できるマルチハーブで、余すことなく使い切ることができます。
高さ20~70cmの多年草で、他のマロウ同様に葉には切れ込みがあります。茎頂や葉腋から花茎を伸ばし、直径4cm程の白や薄い桃色の花を数個付けます。
学名をMalvo moschata(マルウォ・モスカータ)と読み、moschataはアラビア語で「麝香の父」を言う意味で、やはり香りの特徴がそのまま学名となっています。
各種利用法
利用部位:全草
料理
コモンマロウやマーシュマロウと同じように若葉や新芽を食すことができ、特に若いさやは「ムスクオクラ」という別名があります。
実用
樹皮はファイバーに、根はにじみ防止の粘液に、花はタバコの香り付け、種子はコーヒーに混ぜて香りを追加することができます。
香料
香味料や化粧品の香り付け、香水にはムスクの代用として加えられています。動物性のムスクには光過敏症を引き起こしてしまうことがあり、殆ど使用が中止されていますが、植物性のムスクにはそういった副作用がないためこちらがよく使われています。
薬用
芳香、刺激作用がありますが、特に消化管の痙攣緩和や殺虫作用があり、催淫剤として使われることもあったようです。種子は消化促進や口臭除去に内服し、筋肉痛による痙攣や血行不良、関節痛には外用、アロマセラピーでは不安、うつの症状に使用します。
栽培
園芸品種で耐寒性があり、日向の水捌けの良い肥沃な土壌を好みます。繁殖は春、気温が24~27℃の頃に播種をするか、夏に挿し木をしましょう。
手入れは若木の成長点を摘んで脇芽を増やし、多年生のものは根本から15cmまでバッサリと思い切って切り戻しましょう。また、種子を管理するときは他の種子に匂いが移らないように別々の容器で保管しましょう。
あとがき
今回はマロウ3種類について解説しました。
過去記事ではまだまだ未熟な部分があり(現在進行系で未熟)、内容が薄いと思っていたので、この記事では珍しく自分の中で納得の行く仕上がりまで持っていくことができました。
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今日まで書き続けることができたのは読んでくださっている人のおかげです。本当にありがとうございます。これからも拙い記事ではありますが続けていこうと思うので、どうか応援して下さると大変嬉しく思います。
今回の記事はここまでとなります。また次回の記事でお会いしましょう。