今回紹介するはハーブは、フランスやイタリアでは野菜として食べられ、日本でもたまに見かけるチコリーです。
目次
Chicorium
多年草と一年草8種が温帯アジアやエチオピアに分布しており、ヨーロッパや西アジア、北アフリカなどで見られます。属名はアラビア語のkio「行く」とchorion「畑」から変化した植物名であり、chicoree(フランス語)やchico-ia(イタリア語)など多くのヨーロッパ言語を取り入れたエジプト語に由来する説と、ギリシャ語の「kichora」が語源と言われ、諸説あります。
太い根を有する背の高い植物で、倒披針形の葉が螺旋状に付きます。夏の間にたんぽぽそっくりなスカイブルーやピンク、白などの色とりどりな花が葉の脇から群れになって咲くのが特徴です。
チコリには大きく3種類に別れ、苦味のある結球するエンダイブと呼ばれるタイプ、スーパーなどで見かける細い葉のウィトルーフ、広い葉を持つサイッチオ種です。
ドイツの古い伝承では、チコリは戻らない恋人を待ち続けた少女が変化したものとされ、青い花は少女の涙と言われています。
ルーマニアの言い伝えでは、太陽神が身分違いの求愛を拒んだ美女が太陽神の怒りに触れ、花に変えられてしまったと伝えられています。
各種利用法
料理
ゆるく結球する品種は茹でで苦味を抜いて、ホワイトソースやチーズソースをかけて食べます。ウィトルーフとエンダイブはサラダにして食すことが可能です。
ハーブティー
少し苦味があり、コーヒーに似た香りがします。乾燥させた根を焙煎すればコーヒーの代用にすることが可能です。若いチコリは僅かな苦味とカラメルのような香りがし、2年以上経ったものは苦味が増します。
薬用
苦い利尿、下痢性のハーブで、消炎作用、肝臓・胆嚢強壮作用があり、尿酸や老廃物を排出する効果に加え、肝臓を刺激して脾臓や腎臓を浄化する働きも期待できます。さらに駆風作用もあるため腸内ガスが溜まって苦しい時にも活用することが出来ます。また、ヒンドゥー教のアーユルヴェーダでは冷却性、変質性のハーブとして用いられています。
チコリーのチンキ剤はラットを用いた実験で抗炎症作用があるということが立証されました。また、アルカロイドの一種キニーネを含んでいるため、心疾患の治療にも効果が期待できます。さらに焙煎することでセスキテルペン類も抽出することが可能で、この成分には抗菌作用があります。
栽培
園芸品種と栽培品種があり、前者は耐寒性、後者は耐霜性があります。日当たりと水はけがよく肥沃で中性からアルカリ性の土壌を好みます。自家繁殖すると雑草になってしまうので、扱いには気をつけましょう。収穫は2年ものの葉を薄切りにしたものを焙煎したものをコーヒーに加えるのも良いです。また、乾燥させたものを成分抽出液、煎じ薬にするのもよいでしょう。
スーパーなどで見かけるチコリは「軟白栽培」という日に当てないで栽培する方法で、ホワイトアスパラやウド、黄ニラなどが該当し、柔らかくくせのない味になります。
大まかなやり方ですが、1年経ったものを根ごと掘り上げて葉を切り詰めます。その後箱に詰めて10℃の冷暗所で4週間後に収穫することが出来ます。
歴史
古代ギリシアの時代、医師ガレノスは肝臓や胆石に有効だとして「肝臓のお友達」と呼んでいました。また、中世の時代では妖術の万能薬と信じられ、葉の汁を相手に塗れば相手をいのままに操ることができ、錠前にかざせば鍵が開くと信じられていました。
1832年、イギリスではチコリを薬品として扱うことを禁止する法律がありましたが、1840年には廃止され、以後ラベル表示をして販売しているようです。まさかの議会を通過して法案が通ったという歴史があります。
チコリの花は正午になると規則正しくしぼむという特性があり、花時計として植えられていました。(ただし地域や天候の状態によって異なる場合がある模様です。)
フラワーレメディとしての働き
チコリはバッチフラワーレメディーの一つで、以下のような精神状態の人に効果があると言われています。
チコリー
細かいことを心配する人や小うるさい人に。人から注目されたい人、大事にされたい人に
エドワード・バッチ著作集 頁79チコリー かまいすぎ
病気の時でも、子供、友人、身内など、他の人の心配をする人です。彼らが暑すぎないか、寒すぎないか、不満はないか、楽しんでいないのではないかと気をもんでいます。そして、しきりにどんな状態か、どうしたいかを尋ね、彼らを喜ばそうと奮闘し、心配しすぎるのです。他の人達の望みや必要なものについて、多くの質問をします。このような状態が本人にやすらぎをもたらすことはなく、かえって緊張させてしまいます。ときに自己憐憫に陥ることがあります。病気になるようないわれはなにもないと感じて、自分はこき使われ、顧みられず、誰も自分を気に留めてくれないと思うのです。大抵の場合は病中でも血色が良く、体調の悪さが要望に現れることはまずありません。
エドワード・バッチ著作集 頁94
あとがき
今回はチコリについて解説をしました。
野菜としての知識しかなかったため葉がコーヒーの代用になることや、古い言い伝えでは悲しい物語があったりと、人とハーブは切っても切り離せず、共に歩んできたということをしれたハーブでした。機会があれば1から育ててコーヒーやサラダにして耐えてみたいと思いました。
過去に書いた記事も以下のリンク貼っておくので気になる方は是非読んでみてください。
https://www.herbainformationstore.com/2020/04/04/chicory/
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今日まで書き続けることができたのは読んでくださっている人のおかげです。本当にありがとうございます。拙い記事ではありますがこれからも書き続けていこうと思うので、どうか応援して下さると大変嬉しく思います。
今回の記事はここまでとなります。また次回の記事でお会いしましょう。
・ハーブのすべてが分かる辞典 ナツメ社 ジャパンハーブソサエティー
・ハーブの歴史百科 原書房 キャロライン・ホームズ
・ハーブの歴史 原書房 ゲイリー・アレン
・ハーバリストのための薬用科学 フレグランス・ジャーナル社 アンドリュー・ペンゲリー
・ハーブティー辞典 池田書店 佐々木薫
・ハーブ大全 小学館 リチャードメイビー
・ハーブ大百科 デニ・バウン 誠文堂新光社