今回解説するのはcoptis。別名ゴールドスレッドと呼ばれる黄色い根が特徴のハーブです。
目次
Coptis
この属は10種近くの背の低い、湿気を好む多年生のしょくぶつからなり、アネモネに似た花を咲かせます。このような花を付けるのはロックガーデンやピート床で栽培されることが多いです。英名であるゴールドスレッドは地表近くに現れる美しい黄色の根に由来します。
Coptis chinensis
多年生の植物で、耐寒性は-15℃まで耐えることができ、高さは25cm,広がりは15cmと小型な植物です。原産地は中国の湿原と湿った針葉樹林に分布しています。
柄の長い縁のギザギザした三つ葉に長さ1cmの萼5~8枚でありながら蜜を分泌する花弁は、萼の半分程度の大きさで、小さく黄色い花を3~4個、固まって咲く特徴があります。
各種利用法
薬用
大変苦い刺激、冷却性のあるハーブです。細菌、ウィルス感染予防、鎮痙、解熱、循環器系の刺激、局部的鎮痛・麻酔作用があります。主に”熱を持った症状”、つまり赤痢、腸炎、高熱、口内と舌の炎症、結膜炎、中耳炎、動悸に内服します。外用では口内や眼の炎症に有効です。また、中国では3種類の黄色いハーブと呼ばれる漢方の材料の一つであり、上気道感染に筋肉注射するという方法で使われている模様です。
ベルベリンの効能
ハーバリストのための薬用化学 頁168、169から引用
ベルベリンは、分子内の塩基性塩が黄色い結晶体を形成するプロとベルベリンアルカロイドです。
ベルベリンの作用には殺アメーバ、抗菌、抗真菌、胆汁分泌促進やチラミン(アドレナリンに似た交感神経興奮作用のある物質)を抑制する肝臓保護作用、組織の修復を助け、炎症を軽減させるエラスターゼ(エラスチンを消化する酵素)の抑制作用や抗腫瘍作用があります。
ベルベリンには心房収縮の速度を著しく低下させるという心筋への好ましくない作用が見られますが、抗不整脈の作用もあります。(Huang 1993)最近の研究ではベルベリンとサンギナリン(sanguinarine)にはDNAの合成(修復と複製)を協力に抑制することが明らかになりました。(この作用は、抗ウィルス作用と同じような仕組みで働くようです。)
栽培
栽培品種です。日陰の湿った土壌を好みます。繁殖は春に種を蒔くか、秋または春に株分けをします。根は秋に掘り上げて生か乾燥させたものを煎じ薬にします。
歴史
AD200年頃の中国漢方処方書に初めて名前が登場しました。またインディアンゴールドスレッドレッドは北米先住民の間では口内の標準的な治療薬とされており、口及び眼の炎症治療薬として米国薬局方(1832~82)と米国処方書に記載されました。
あとがき
今回はゴールドスレッドについて解説をしました。
薬用成分であるベルベインは有用ではありますが使い方を間違えると人に害を及ぼす危険なものであり、これに限らずハーブは薬と同じように扱わなければいけないと思いました。
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今回の記事はここまでとなります。また次回の記事でお会いしましょう。
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