今回解説するハーブは、虫に寄生するきのこの一種cordyceps,いわゆる冬虫夏草です。
目次
cordyceps
約100種類に及ぶ寄生茸で世界中に存在します。この記事で取り上げるC.chinesisはヒマラヤガの幼虫に寄生する品種です。
寄生された幼虫と頭から突き出ているストロマ(胞子形成体)からなり、中国の本草書によればストロマが短く、幼虫が太っていて黄色いものが上質なものとされています。
現在では養殖が可能となり、麦から安く栽培することが出来るようになりました。この方法でカリフォルニアでは盛んに輸出されている一方、中国からの輸入も続いており、小さな包みに赤い紐が掛かって届けられます。この方法は19世紀にこの植物が発見されてからずっと変わっていません。
C.chinesis
読み方:コルディケプス・キネシス
ヒマラヤに生息する蛾に寄生する寄生茸で、幼虫は長さ3〜6mm,直径は7mm程度の大きさです。ストロマは中空の棍棒型で表面は茶色か焦げ茶色です。ヒマラヤ山脈の高度3400m以上の山脈丘陵地帯にのみ生息しています。
成長のメカニズムは、まず宿主である幼虫の鼻孔から胞子が体内に入り込み、体内を喰らい尽くしてから休眠体となって冬を越します。春になると目覚めてストロマとなり、胞子を外の世界へと飛ばして次の宿主を探します。
各種利用法
料理
中国では冬虫夏草は普通春と冬に集められる。つまり季節の変わり目に体が適応するように、鶏と共に茹でてスープに仕立て上げます。またアヒルの頭に冬虫夏草を詰めてジンと醤油で調理したものは、催淫剤として人気があります。
薬用
甘く精力強壮作用があり、肺と腎臓に効きます。また鎮静、筋弛緩、鎮咳、抗細菌、抗癌作用もあります。咳、肺結核、腎機能低下(ED、腰痛、寝汗)、回復期、鼻咽喉癌に内服されます。
栽培
栽培品種で完全な耐寒性があります。野生種は蛾の幼虫に寄生します。小麦で栽培が可能となり、繁殖は適切な宿主に胞子をつけます。野生種は早春、雪が溶けたらキノコを集めます。培養種は穀物床から収穫し、乾燥させたものをカプセルに入れるか、圧縮して薄切りにします。または粉末、チンキに加工できます。
歴史
冬虫夏草が書物に登場したのはAD200年頃の事ですが、薬用として知名度が上昇したのはAD1600年頃で、ヤクヨウニンジンに匹敵すると言われるほどになりました。しかし、中国西部のホピ族は年に一度高原の草原地帯を焼く際に収穫し、その風習が2000年以上続いています。
あとがき
今回は冬虫夏草について解説をしました。
この生物は昆虫に寄生という方法を取って生き延びるということを選び、生物の進化というのは本当に不思議で驚きに満ちているものだと思いました。
何よりこの昆虫から生えているものを食べようとするその気概は尊敬に値し、初めて食べた人の勇気に敬意を払いたいです。
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今回の記事はここまでとなります。また次回の記事でお会いしましょう。
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