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ハーブ解説 Part212

今回紹介するのは有毒植物の代表格、ジギタリスです。

Digitaris lanta

読み方:ジギタリス-ランタ

2年草と多年草の薬約20種がヨーロッパ、北アフリカ、西アジア、中央アジアに分布しており、ここで取り上げるD.lantaは茎が普通一本立ちの2年草または短年性多年草です。またジギタリスは主に心臓に作用する強心配糖体などを含んでおり、詳細は後ほど解説します。

葉柄のない皮針形の葉は長さ12cm迄生長します。またDigitaris  puruprea(フォックスグローブ)は有毒ですがシルエットの美しさから園芸用に栽培されているほかジゴキシンの主原料として大切にされています。

属名はラテン語のDigitus「指」に因んでおり、花の形が人の指に似ていることに由来します。

コンフリーの葉にとても良く似ているためハーブ製剤に紛れて中毒症状を起こすことがある為、コンフリーとジギタリスは近くに植えないようにしましょう。

強心配糖体の作用と毒性

ハーバリストのための薬用化学 頁94,95から引用

強心配糖体の作用

心筋の収縮力や収縮するスピードを増進させ、働きが弱っている心臓に対しては、強心配糖体は心筋の収縮力を高めて左右の心室からより多くの血液量を送り出せるようにし、心収縮期の長さを短くします。心臓は、心筋の収縮と次の収縮との間により多くの休息時間を持てるようになります。心拍排出量(心室から単位時間あたりに送り出される血液の量)の増加は、心拍数の減少や尿の排出量の増加をもたらします。ジゴキシンそのものについては、主に4つの作用があります。

1.心臓の動きを活発にする

細胞内のカルシウ厶(Ca2+)を増加させることになる、細胞膜のNa+,K+―ATPase(細胞膜上にあるナトリウム−カリウムポンプと呼ばれるナトリウムイオンを細胞外にくみだし、細胞外のカリウムイオンを細胞内に取り込むポンプに存在するATP分解酵素のことで、この酵素の働きにより、ナトリウム−カリウムポンプは機能する)を直接的に阻害する、要するにATP分解酵素の働きが阻害されてナトリウム−カリウムポンプの働きが抑制されると、細胞内はカリウムに変わってカルシウム(Ca2+)が増加することになり、これが筋肉の収縮力の増進を招いて心筋の収縮性を高めます。

2.心房や心室の筋肉の興奮を増大させる。

これは不整脈を招くことがあります。

3.心臓の刺激伝導速度を低下させる。
4.迷走神経の緊張や、迷走神経からの刺激に対する心筋の刺激感応度を高める。

毒性について

強心配糖体の治療指数(薬物の最大許容量)は低いのですが、これは治療で服用する量と毒となる服用量とに大差がないということを意味します。ジギタリス中毒は様々な形で悪影響を及ぼします。例えば胃腸症状(吐き気、嘔吐、下痢)、視覚障害、神経症状(頭痛、神経痛、眠気)や心臓機能不全の悪化や不整脈などの心血管症状などがそうです。電解液による障害が起こるので、カリウムを投与しなければならない事もあるようです。また多くの禁忌があり、注意を払わなければならない薬の相互作用もあります。ジゴキシンの薬理作用や毒性について詳しく知りたいのであれば、フィリップス及びジョンソンの文献(1987)を参照してください。

 

各種利用法

利用部位:葉

薬用

大変苦味のある利尿性のハーブで心臓の収縮を強めるなどの効果があり、心不全や不整脈に内服されます。過剰摂取は吐き気、嘔吐、心拍数低下、資格障害、無食欲、意識不明を起こします。

栽培

園芸用品種で耐寒性があり、半日陰で水捌けの良い中性からアルカリ性の土壌を好んでいます。繁殖は秋に温室内などの種をまきましょう。収穫は花が咲く前に葉を摘み取り、乾燥させたものを事業規模でアルカロイドを抽出しています。

湿気の多い環境では葉先と根の腐れ病に侵されることがあるので意が必要です。

あとがき

今回はジギタリスについて解説をしました。

この植物からアルカロイドが単離抽出されるようになったお陰で心臓病にも対抗できるようになった反面、アガサクリスティーの書いたミステリー小説にも殺人の手段として登場することから、扱い方を間違えなければ有用な植物であることがわかりますね。

当然ながらアルカロイドを扱うには専門の資格を持つ方にのみ限られますので、知識がない方は絶対に手を出さないようにしましょう。

ジギタリスの花言葉は英語と日本語では異なり、日本では「熱愛」、英語では「不誠実」と全く逆の意味になってしまう変わった一面も存在します。初めて知った時は矛盾してるけどどっちなの?と思いました。

参考にさせて頂いたサイトは以下に貼ってあります。

https://rennai-meigen.com/digitalis-hanakotoba/

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今日まで書き続けることができたのは読んでくださっている人のおかげです。本当にありがとうございます。拙い記事ではありますがこれからも書き続けていこうと思うので、どうか応援して下さると大変嬉しく思います。

今回の記事はここまでとなります。また次回の記事でお会いしましょう。

参考文献リスト

・ハーブのすべてが分かる辞典 ナツメ社 ジャパンハーブソサエティー
・ハーブの歴史百科 原書房 キャロライン・ホームズ
・ハーブの歴史 原書房 ゲイリー・アレン
・ハーバリストのための薬用科学 フレグランス・ジャーナル社 アンドリュー・ペンゲリー
・ハーブティー辞典 池田書店 佐々木薫
・ハーブ大全 小学館 リチャードメイビー
・ハーブ大百科 デニ・バウン 誠文堂新光社
・エッセンシャルオイルデクレファレンス 第6版
・エドワード・バッチ著作集 BABジャパン エドワード・バッチ

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