目次
はじめのご挨拶
皆さんこんにちは。
今回ご紹介するのはゴールデンスレッドと呼ばれる北米では薬用として使われていた植物と虫に寄生するトウチュウカソウの2種類です。
ゴールデンスレッドとは?
この属は10種近くの背の低い、湿気を好む多年生のしょくぶつからなり、アネモネに似た花を咲かせます。このような花を付けるのはロックガーデンやピート床で栽培されることが多いです。英名であるゴールドスレッドは地表近くに現れる美しい黄色の根に由来します。
Coptis chinensis
多年生の植物で、耐寒性は-15℃まで耐えることができ、高さは25cm,広がりは15cmと小型な植物です。原産地は中国の湿原と湿った針葉樹林に分布しています。
柄の長い縁のギザギザした三つ葉に長さ1cmの萼5~8枚でありながら蜜を分泌する花弁は、萼の半分程度の大きさで、小さく黄色い花を3~4個、固まって咲く特徴があります。
各種利用法
薬用
大変苦い刺激、冷却性のあるハーブです。細菌、ウィルス感染予防、鎮痙、解熱、循環器系の刺激、局部的鎮痛・麻酔作用があります。主に”熱を持った症状”、つまり赤痢、腸炎、高熱、口内と舌の炎症、結膜炎、中耳炎、動悸に内服します。外用では口内や眼の炎症に有効です。また、中国では3種類の黄色いハーブと呼ばれる漢方の材料の一つであり、上気道感染に筋肉注射するという方法で使われている模様です。
ベルベリンの効能
ハーバリストのための薬用化学 頁168、169から引用
ベルベリンは、分子内の塩基性塩が黄色い結晶体を形成するプロとベルベリンアルカロイドです。
ベルベリンの作用には殺アメーバ、抗菌、抗真菌、胆汁分泌促進やチラミン(アドレナリンに似た交感神経興奮作用のある物質)を抑制する肝臓保護作用、組織の修復を助け、炎症を軽減させるエラスターゼ(エラスチンを消化する酵素)の抑制作用や抗腫瘍作用があります。
ベルベリンには心房収縮の速度を著しく低下させるという心筋への好ましくない作用が見られますが、抗不整脈の作用もあります。(Huang 1993)最近の研究ではベルベリンとサンギナリン(sanguinarine)にはDNAの合成(修復と複製)を協力に抑制することが明らかになりました。(この作用は、抗ウィルス作用と同じような仕組みで働くようです。)
栽培
栽培品種です。日陰の湿った土壌を好みます。繁殖は春に種を蒔くか、秋または春に株分けをします。根は秋に掘り上げて生か乾燥させたものを煎じ薬にします。
歴史
AD200年頃の中国漢方処方書に初めて名前が登場しました。またインディアンゴールドスレッドレッドは北米先住民の間では口内の標準的な治療薬とされており、口及び眼の炎症治療薬として米国薬局方(1832~82)と米国処方書に記載されました。
トウチュウカソウとは
約100種類に及ぶ寄生茸で世界中に存在します。この記事で取り上げるC.chinesisはヒマラヤガの幼虫に寄生する品種です。
寄生された幼虫と頭から突き出ているストロマ(胞子形成体)からなり、中国の本草書によればストロマが短く、幼虫が太っていて黄色いものが上質なものとされています。
現在では養殖が可能となり、麦から安く栽培することが出来るようになりました。この方法でカリフォルニアでは盛んに輸出されている一方、中国からの輸入も続いており、小さな包みに赤い紐が掛かって届けられます。この方法は19世紀にこの植物が発見されてからずっと変わっていません。
C.chinesis
読み方:コルディケプス・キネシス
ヒマラヤに生息する蛾に寄生する寄生茸で、幼虫は長さ3〜6mm,直径は7mm程度の大きさです。ストロマは中空の棍棒型で表面は茶色か焦げ茶色です。ヒマラヤ山脈の高度3400m以上の山脈丘陵地帯にのみ生息しています。
成長のメカニズムは、まず宿主である幼虫の鼻孔から胞子が体内に入り込み、体内を喰らい尽くしてから休眠体となって冬を越します。春になると目覚めてストロマとなり、胞子を外の世界へと飛ばして次の宿主を探します。
各種利用法
料理
中国では冬虫夏草は普通春と冬に集められる。つまり季節の変わり目に体が適応するように、鶏と共に茹でてスープに仕立て上げます。またアヒルの頭に冬虫夏草を詰めてジンと醤油で調理したものは、催淫剤として人気があります。
薬用
甘く精力強壮作用があり、肺と腎臓に効きます。また鎮静、筋弛緩、鎮咳、抗細菌、抗癌作用もあります。咳、肺結核、腎機能低下(ED、腰痛、寝汗)、回復期、鼻咽喉癌に内服されます。
栽培
栽培品種で完全な耐寒性があります。野生種は蛾の幼虫に寄生します。小麦で栽培が可能となり、繁殖は適切な宿主に胞子をつけます。野生種は早春、雪が溶けたらキノコを集めます。培養種は穀物床から収穫し、乾燥させたものをカプセルに入れるか、圧縮して薄切りにします。または粉末、チンキに加工できます。
歴史
冬虫夏草が書物に登場したのはAD200年頃の事ですが、薬用として知名度が上昇したのはAD1600年頃で、ヤクヨウニンジンに匹敵すると言われるほどになりました。しかし、中国西部のホピ族は年に一度高原の草原地帯を焼く際に収穫し、その風習が2000年以上続いています。