今回は木材や食用に使える万能植物くるみについて解説をしていきます。
クルミとは?
別名バターナッツともよばれ米国薬局方にも登録されている植物の一つ。
かつて先住民が消化機能不全に使っていた事から現在のハーバリストも消化不良を伴う便秘や肝臓機能不全、皮膚の発疹に使用している。
クルミの生態
主に地中海沿岸から東アジアまでの地域と北米からアンデス山中に分布。
ここで取り上げるJuglans regia(ユグランス・レギア)はシルバーグレーの樹皮を持つ落葉樹でペルシャグルミとも。
晩春から初夏にかけて香り良い花を咲かせ、雄花と雌花で形状が違う。
雄花は細長い尾のような尾状花序、雌花は穂状花序という形態を取ります。
品種によっては黄色く色づくきトネリコに似た大きな葉をつけるため栽培される。
学名の由来はラテン語のjupiterと「ドングリ」glansに由来します。
クルミに関する四方山話
なぜか「イギリスの」くるみの木と呼ばれているがイギリスではこの品種も暖かい地域のものもめったに実らない。自己主張が激しい
クルミの
各種利用法
クルミを使った
料理
ナッツは中東の鳥料理やプロヴァンス風の塩漬けのたらraitoやパスタソースに。
オイルは様々な料理に使うことができ、未熟な果実はピクルスやフランスのリキュールbrou de noix(ブロー・ドゥ・ノア)に加工する場合も。
クルミの
薬効
苦味の強い収斂性のあるハーブで多くの病原性微生物を抑える作用に加え以下の効能があります。
・去痰
・緩下剤
・腎臓結石溶解
組織の炎症を抑えたり抗癌成分も含んでいます。さらに以下の症状にも利用される。
・便秘
・喘息
・慢性の咳
・尿路結石
これらの症状には葉が使われます。
未熟な果皮は
・下痢
・貧血の症状
に対して。
オイルは
・月経困難症
・皮膚の乾燥
を和らげてくれます。
もちろん外用薬として用いることもでき、
・湿疹
・抜け毛
・ヘルペス
・目の炎症
・発疹性皮膚疾患
に用います。
クルミの
実用例
葉と殻から茶色の染料が取れ、毛染め剤、褐色の髪用コンディショナーに。
木材は化粧板、家具、銃床に。オイルは化粧品や画材になりますよ。
クルミの
歴史
プリニウス(AD23~79)が葉と殻を使った染料を考案し、その手法は20世紀初頭まで茶色の毛染め剤の主原料だった。
北米原産のJ.cinerea(バターナッツという品種が)先住民の消化機能不全に対して利用され、19世紀に最も普及した緩下剤となりました。
クルミの
栽培方法と収穫
寒さに強く、日向の水はけの良い肥沃な土地で深く根を張れるところを好みます。
繁殖は秋に温室などの室内で種を蒔くか、舌継ぎ法で接ぎ木をする。
手入れは冬に位置の悪い、または枯れた枝を切り払います。
注意する病気は細菌性斑点病、枯れ病が葉につくことがある。寒い地域では若い枝と花が霜で痛むことがあるので注意する。
クルミの収穫
葉は成長期に摘み取り、乾燥させたものを成分抽出液や浸出液に加工する。
実は未熟なものも熟したもの両方を集め、殻皮、外皮、種に分ける。緑の外皮は生のまま成分抽出液に、殻皮は浸出液を乾燥させ、種はオイルを絞る。