今回もあまり知られていないであろうハーブAlistolochiaと呼ばれるハーブについて解説していきますよ。
Aristolochia clematits
読み方:アリトラキア・クレマチス
独特の香りのある長い匍匐性の根茎を持つ多年草で、高さと幅は共に20~80cm程度です。葉はハート型、花は黄色がかった緑色で群れをなして咲かせ、洋ナシ型の実を付けます。
各種利用法
利用部位:根
薬用
強壮作用のあるハーブで、子宮刺激、抗炎症、細菌感染症の予防、治癒促進作用があります。主に産婦人科系疾患に使われますが有毒なため、少量、短期間のみ処方されることがあります。外用として皮膚感染症と外傷(特に蛇の噛み傷)に有効です。
歴史
英名ではスネークルートと呼ばれ、蛇の噛み傷に効く伝統薬になっていることに由来します。また、古くから出産に使われるハーブとして、古代エジプト時代の医学書にも記録が残っています。
Aristolachia debilis
読み方:アリストラキア・デビリス
侵襲性の多年草で、耐寒性は-5℃と寒さにかなり強い植物です。高さと広がりは1mほどです。卵型の三角形の葉は3~4cmで、細く緑色の花を腋から咲かせ、主な生息地は中国や日本です。
各種利用法
利用部位:根・種子・葉
薬用
葉には鎮痛、抗炎症作用。実には血圧降下、咳の予防、気管支の鎮痙、去痰作用があります。また中国漢方でも使われ、実は「馬兜鈴」という名前です。
喘息、関節炎、痰の絡んだ咳、気管支炎、高血圧、内痔核に実は内服することが可能です。加えて根にも薬効があり、関節炎、蜂窩織炎、虫刺され、鼓腸を伴う胃の不快感に効果が期待できます。
Alistlachia selpentaria
読み方:アリストロキア・セルペンタリア
A.debilisとほぼ同じですが、こちらはジグザグに茎が立ち上がり、主な生息地はアメリカ東部や南部の乾燥した林となっています。
各種利用法
利用部位:根
リューマチ、痛風、熱病による関節炎、チフス、マラリアに内服することができ、外用にはヘルペスや治りの遅い外傷に有効です。また、皮膚や腎臓の特許製剤の原料になっています。
栽培
A.clematitsは園芸品種、A.debilis及びA.selphentariaは野生種です。
日向か半日陰で水捌けの良い土地を好みます。繁殖には13~16℃の春に種子をまくか、秋に株分けで増やすことが可能です。
歴史
A.selphentariaは北米原住民にとって、蛇の噛み傷に対する薬として珍重されていました。しかし17世紀の頃のヨーロッパの時代で、この植物の薬効を研究するために乱獲され、現在では野生のものは滅多に見られなくなってしまいました。
まとめ
スネークルートとも呼ばれるこのハーブは古くから蛇の噛み傷に利用されていた植物で現在でも生薬として利用されている。