今回解説するのは現在の市販痛み止めの材料に使われるサリチル酸発見の切っ掛けとなった「セイヨウシロヤナギ」について。
セイヨウシロヤナギ
生態
ヨーロッパ、西及び中央アジアを原産とする成長の早い落葉樹。名前の由来は葉の裏側が白く見えることにちなむ。
小さな花が密集してつくことを“尾状花序”といい、セイヨウシロヤナギにも見られる。
殆どの土壌で生育するが特に水辺を好む。葉の形態で形状が異なる園芸品種も存在。
セイヨウシロヤナギ
伝統利用
利用部位:樹皮、葉
痛みの治療に用いられた長い歴史があり、
・うずきの緩和
・解熱
・カタル
・殺菌剤
などに使われてきた。
現在では柳の抽出物が化粧品や多くの健康増進剤に用いられている。
セイヨウシロヤナギ
科学的評価
1763年オックスフォードシャー出身のエドワード・ストーン牧師が行ったとある治験。それはマラリアの解熱で、樹皮の抽出物を使うこと熱を下げることが示された。
柳の伝統利用の多くは炎症に伴う痛みの治療に関わるものが多く、これは主成分のサリシンが含まれていることで説明がつく。
サリシンは体内でサリチル酸に変化し、この化合物が痛みを緩和する。
最新の治験で骨関節患者の痛みを樹皮治療物で治療したところ、プラセボよりも統計的に効果が見られることが明らかとなった。
セイヨウシロヤナギ
まとめ
伝統的に痛み止めに使われていたほか、現在の痛み止めの成分であるサリチル酸の発見につながった重要な植物。