今回は中国3代美人の一人“シャンフェイ”の香りにまつわるエピソードをご紹介。
目次
シャンフェイって?
彼女を一言で表すならば、皇帝に愛されながらも若くして命を絶った、悲劇のヒロイン。
作家である井上靖は、彼女の香りの謎を求めて、シルクロードを経由してカシュガルに赴き、現地の故老に話を聞いた。
故老いわく“それは芳しい棗の匂いがした”というのである。
そんな彼女の伝説と香りについて紐解きます。
シャンフェイの伝説
時は18世紀、清の乾隆帝時代。シルクロード、中国西域のカシュガル地域。
そこを治めるウイグル族の王、ホジハーンは、清に反乱を起こしたが逆に滅ぼされてしまう。
その時の王妃がシャンフェイだと言われる。
彼女は絶世の美女で、体からは得も言われぬ芳香を発していたと言われている。
そんな彼女の容姿を、スウェーデンの探検家スウェン・ヘディンはこう残した。
「香妃はまつげが長く、唇はさくらんぼのように赤く、漆黒の髪の形はふくよかに両肩にたれ、すらりと背が高く、手は白玉の彫刻のように透けて見えた。」
皇帝の都、熱河 著者:スウェン・ヘディン
彼女の噂を耳にしていた皇帝は、彼女を北京に迎え入れ、後宮に入れた。その時皇帝50歳、シャンフェイ20歳。
皇帝は魅惑の香りと美しい容姿を愛し、寵愛しようとしていました。
しかし、彼女はそれを拒否して、好きあらば、夫ホジハーンの敵として命を狙う有様。
これを重くみた皇太后は心配し、皇帝が留守中にシャンフェイに自刃するよう迫った。
そして彼女はそれを受け入れたのです。この時27歳という若さだった。
皇帝は大いに悲しみ、亡骸を御輿に乗せて、多くの供を引き連れてカシュガルに返したという。
現在、カシュガルに、シャンフェイ出身のホージャ家一族の墓が埋葬されている廟があり、そこにシャンフェイも眠っている。
シャンフェイの
香りの秘密
彼女が纏っていたとされる香りの正体は、Russian olivedだと言われている。
学名はElagnus angustiforia Lはグミ家に属し、中国の東北、華北、西北の砂漠地帯で群生または栽培されている。
Elagnus angustiforia L
生態
グミ科と言っても種類が異なり、高さ1~5mの曲がりくねった幹で、太いものは20cm。
葉は長円形で2-4cmで、葉の裏が白くなっており、オリーブに似ている。