今回は、炭と灰にまつわるお話。
え?香りと関係なさそうだって?とりあえず最後まで読めば、自ずと関係性が見えてきますよ。
目次
炭と灰
古来からこの2つは暖房や調理など、人と密接に関わって来たもの。だが香が伝えられた時、その用途は必然的に香を焚くためのものに変わっていった。
我が国では7世紀頃すでに、木炭の生産が普及し、一種の税として収められていたとか。
焼香のように、直接炭に焚べる香だけでなく、香物など間接的に温めるものは、直火の熱を和らげる、灰が理想的だった。
その後様々な香が普及し、用途が細かく分かれる過程に伴い、灰と炭に工夫が凝らされ、使い分けされるように。
聞香と
香炭団
聞香(ぶんこう)は貿易によって様々な香木が舶載されるようになり、室町時代頃に方式が整えられた。
柔らかな熱で香木を温め、香気を楽しむものであったが、特に香りを楽しむための炭を“香炭団”という。
香炉を鼻の近くまで持ってくる聞香は、香木の微妙な香りを鑑賞するため、なるべく燃焼臭が少ないものが望ましい。
そんな香炭団を作るのにも先人たちは苦心し、くるみの殻や松かさなどを使っていたという記録が残っている。
現在では純度の高い木炭の粉末をふのりなどで合わせ、小さな俵型に押し込んだものが主流。
しかし、火持ちが悪いという点で聞香には向かず、細い池田炭や佐倉炭などが適していると言われる。
聞香で使われる灰
灰自体ににおいがないものが良いとされ、火持ちの良さや灰型の作りやすさなどが重視される。
現代では香炭団が燃え尽きたものを、聞香の灰に用いることが多い。
ほかにも茄子や蕎の灰が無臭で火持ちが良いとされているため、聞香に適しているとされている。