香りの逸話と歴史

柄香炉

今回は古来より儀式に用いられた、柄香炉というものについて解説します。

そもそも
柄香炉って?

簡単に説明すると、仏教儀式に使われる道具の一つ。

古くは日本書紀に登場し

「多数の僧侶に大雲経を読んでいたとき、蘇我大臣は手に香炉を焚いて礼拝した(皇極天皇元年7月)」

「沈水香、その他財宝を、法興寺に献上する。同じ年、大友皇太子は、蘇我赤兄臣、中臣金連その他多数と契約を結んだ」

と記されている。この「手に香炉を取り」とあるのが柄香炉。

さらに聖徳太子孝養像では、実際に柄香炉を手に持った姿が描かれている。

正倉院に収められた
柄香炉

正倉院に収められている“紫檀金鈿柄香炉”。

これは紫檀製の柄に、金、銀珠玉で飛鳥文化を象篏し、柄頭に獅子が飾られている、とても豪華な品。

世界でもやっぱり同じような
使われ方の柄香炉

エジプトの壁画にも登場し、柄香炉のような物を手に持って、香を投げ込んで焚いている様子が描写してある。

キリスト教にも同様、柄こそないものの、手で振り回す香炉があった。

このように儀式で使われたであろう香道具は、単に携帯しやすいだけでなかった。

香炉を手に持って、その香を神仏に捧げる祈りの普遍性と敬虔な思いを物語っている。

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