今回解説するのは、柳の近縁種である「ポプラ」。街路樹として有名ですがハーブとしての利用価値もあるのです。
目次
ポプラ
概要
属:ポプラ属(ヤマナラシ属)
科:ヤナギ科
学名:Populus
英名:White popler、abele
ポプラ属はヤナギ属とごく近縁で、ヤナギ属同様サリシンを含む。この成分には消炎、鎮痛作用がある。
サリチル酸塩(サリチラート)類はもともとアスピリンの原料であったが、19世紀に合成されるようになった。
多くのポプラに含まれる化学成分はよく似ているため互換性がある。薬用に使われるのは主に樹皮である。
ポプラの外観と生態
生育の早い落葉高木35種類が存在し、主に温帯北部に分布している。水分の多い土壌や海岸沿いの気候、大気汚染にも耐性がある、環境に左右されない植物。
そのため、目隠しや防風林、街路樹として効果的なほか、芳香を放つ品種も存在するため観賞用の変種も多く存在する。
学名の由来は長年街路に沿って植えられていたことから「人々の木」という意味のarbor populiが学名の由来となったと言われています。
がっしりとした高木で約25mまで成長する。葉の長さは9cmで、雌雄異株。メスの株は綿のような蒴果となる。
ポプラ利用の歴史
樹皮は主にP.albaから採られているが、P.nigra(ブラックポプラ)も同じような使い方ができる。
P.albaは米国薬局方に記載(1895~1936)され、発熱・月経痛の治療薬として収録されていた。
P.candicansとP.nigra、P.balsamfera(バルサムポプラ)の蕾は去痰剤、興奮剤として米国薬局方に1916~65年に収録。
混同しやすい植物
P.candicansは‘バーム・オブ・ギレアド’と呼ばれる植物のAbies balsameaやCedronella canariensisなどと混同されやすいので注意。
ポプラ各種利用法
ここで掘り下げるのはPopulus albaとPopulus×candicansの2種類。
Populus alba
薬効
主に利用するのは樹皮で、
・リューマチ性関節炎
・痛風
・発熱
・腰痛
・尿機能不全
・衰弱
・拒食
に内服。
外用では
・霜焼け
・捻挫
・内痔核
・傷の化膿
に有効。
組み合わせの一例
リューマチ性関節炎
Populus alba
×
Cimicifuga racemosa
Menyanthes triforiata
拒食
Populus alba
×
Mahonia aquifolium
chelona glabra
Populus×candicans
英名:Balm of Gileado
ontario poplar
利用部位:花の蕾
殺菌、去痰性のハーブ。解熱、循環器の刺激、局所的な鎮痛、血流の改善などの作用がある。
香料
乾燥させた蕾はポットポプリに入れるとよい。
薬用
内服
・気管支、上気道感染症
外用
・風邪
・副鼻腔炎
・関節炎
・リューマチ
・筋肉痛
・乾燥肌
組み合わせの一例
咳止め
Populus×candicans
×
Pinus strobus
Prunus serotinia
栽培と収穫
日向の水はけのよい深く根が張れる湿った土壌を好む。P.albaは、ほかのポプラ種よりも乾燥に強い。繁殖は冬に塾枝差しを行う。
Populus×candicansは元気のよい新芽と葉を出させるため冬の終わりに切り詰める。細菌性の癌腫、菌性病に侵されることもあるため注意。
ほかにも
・アブラムシ
・毛虫
・ポプラビートルの幼虫が、葉につくことがある。
またポプラは広く根を張るため、建物や水路の近くはNG。
著:白鴉マキト