今回は配糖体について解説していきます。
目次
配糖体
糖と別の物質が特殊な結合をしている化合物で、いわば水酸基を持つ糖のことです。
配糖体の特徴
酸や酵素によって分解され、2つの物質に分解されます。
- グリコン(糖部)
- アグリコン(非糖部)
配糖体の存在範囲
豆類や地下茎(さつまいもやヤマイモなど)花や葉など、様々な所に存在しています。中には毒性があるものもありますが、調理の過程で無毒化されるようです。
配糖体の結合にはフェノール性水酸基が関与しており、O-グリコシドという物質が関与しています。その他に、炭素や窒素、硫黄なども関係しています。
プロドラッグ
ほとんどの配糖体は大腸に存在する腸内細菌によって分解されるまでは、薬効が現れず、体内で酵素や化学物質によって分解されて初めて効果が現れます。このように体内で分解されて薬効が現れる物質を、プロドラッグといいます。
配糖体の種類
配糖体はアグリコンの性質を元に分類されますが、フェノール類、キノン類、ステロイド類などに分類されますが、様々な物質になりうるため、ここでは一部分を紹介します。
シアン配糖体
バラ科に含まれる配糖体で、窒素がシアン化水素を構成する形で存在しています。多くのアミノ酸は、広く知られたシアン配糖体の前駆物質となります。続いてシアン配糖体の一種、アミグダリンが加水分解されたときのメカニズムついて解説します。
アミグダリンのメカニズム
アミグダリンは、アミダグラーゼという酵素と水によって分解されたときに、グルコースとベンズアルデヒド、そしてシアン化水素で構成される2段階のプロセスがあります。
シアン配糖体の治療的作用
シアン配糖体は少量では去痰、鎮静、及び消化促進作用があります。続いて、シアン配糖体の一種、プルナシンを含むハーブをご紹介。
ワイルドチェリー
このハーブの樹皮は、シロップのフレーバーの他に、効果の高い咳止め薬や活力剤となるハーブです。気管支炎にはこのティーを飲むと役立ちます。
シアン配糖体の毒性について
中枢神経の機能が停止し、めまい、赤ら顔、呼吸酵素の不活性化による呼吸困難などの症状があり、最悪の場合死に至ります。
ただし、植物に含まれるシアン配糖体には微量しか含まれておらず、大量に摂取しない限りは中毒を起こす確率は低いです。
私達の身体は、シアン化物を無毒のチオシアン酸塩に変換し、体外に放出する機能が備わっていますが、限界を超えると当然ながら中毒を起こしますので注意しましょう。
フェニルプロパノイド配糖体
古くから知られている配糖体の化合物で、当時は1964年に初めてベルバスコシドが単離抽出されたぐらいの知名度でした。しかし、最近の生体実験で免疫抑制作用があることが実証され、別の研究結果では、弱~中程度の抗腫瘍作用に加え、鎮痛及び神経鎮静作用があることが明らかになりました。
また、この成分の抗腫瘍作用は細胞の増殖や分化に関係する酵素、PKC(プロテインキナーゼ)の反応抑制につながると考えられています。
次にフェニルプロパノイドの一種、エキノコシドについて解説します。
エキノコシド
この成分はキク科の植物、エキナセアに含まれ、抗生物質作用と抗ウィルス作用があり、抗酸化作用に加えて紫外線からのダメージによるコラーゲンの破壊から、肌を守る働きがあることが立証されました。
エキナセアについて知りたい方は、以下にリンクを貼っておきますので、参考にどうぞ。
http://herbainformationstore.com/2020/03/08/cornflower/
シリンギン
エゾウコギやホーリーバジルに含まれる成分で、ストレスに対する耐性を上げる強壮作用があります。
その他に立証されているのは、フェニルプロパノイド類とエピネフリンやL-ドーパなどのカテコールアミン類と構造が似ていることから、アミン類と同じような作用があるという研究結果が報告されています。
エピネフリン=副腎皮質ホルモンのことで、一般名はアドレナリンです。
L-ドーパ=ドーパミンの前駆物質で、神経伝達物質のことです。
アントラキノン
黄色がかった茶色の色素のことで、利尿作用や緩下作用があり、下剤として利用されます。主にアカネ科の植物、セイヨウアカネの根に多く含まれ、古くは繊維の染料としての利用が主でした。
アントラキノン豆知識
アントラキノンは別名、アントラセン配糖体といい、1832年にフランスの科学者デュマとランバートが初めて抽出したフェニルプロパノイドが、アントラセンだったため、この名前が付きました。
アントラキノンの治療的作用
先程書いた通り、下剤として利用され、腸のレントゲン写真の撮影前や腹部手術の前後に処方されます。また、下剤の強さは植物に含まれるアントラキノンの量に依存し、最も穏やかな作用のハーブは、ルバーブやバックソーンといったハーブです。さらに、タンニン類も含まれているため、排便を促す働きをします。
アロエやセンナも下剤として利用されることも多いですが、こちらは依存性があるため、使用には十分に気をつけましょう。
アロエについても記事があるので、興味のある方は下のリンクから読んでみてください。
http://herbainformationstore.com/2020/02/11/%e3%82%a2%e3%83%ad%e3%82%a8/
あとがき
今回は配糖体について解説しました。
今回は書ききれなかったですが、アブラナ科の植物の辛さのもとであるグルコシノレートも、実は配糖体の一種です。
食欲を刺激し、消化を活発にする働きがありますが、精油は100%グルコシノレートなので、外用や内服をすると、粘膜を刺激して大変なことになるので、内服及び外用で使うのは、絶対にやめましょう。
今回の記事はここまでです。また次回の記事でお会いしましょう。