今回解説するハーブは、5月5日の端午の節句に欠かせないショウブです。
目次
主な成分:アサロン
ショウブに含まれる成分の一つで、植物や菌類の害虫を殺すために使われる物質ですが、発がん性と毒性がある物質です。
特徴
約1mまで成長するサトイモ科の植物で、古くから治療のハーブとして利用されていました。
各種利用法
薬用
胃腸の働きを助け、唾液や胃液の分泌を促す作用があります。また、胃酸を中和して胸焼けや消化不良を和らげる効果に加え、胃腸内のガスが貯まるのを防ぐ作用もあります。
漢方では、聴力障害やめまい、てんかんなどの治療に使われるほか、穏やかな鎮静作用があるため歯痛やタバコの常用癖を治すための薬としても用いられます。
また、体を温める作用があるとされています。
アーユルヴェーダにも使われ、特に脳卒中、神経の回復の修復薬として重要視されています。
- 多量に服用すると消化管を刺激してしまうため、少量ずつ服用しましょう。
- 精油にはアサロンを含むため、アメリカでは治療薬としての使用を禁止しています。
栽培
ショウブは耐寒性で、日当たりの良い湿った土か浅い水中を好みます。繁殖の方法は、春か秋に根茎を分けることで増やすことが可能です。
収穫は開花時期以外に間引きをし、必要な分の根茎を採ったら埋め戻しましょう。
加工
精油を蒸留することができます。生のものはチンキ剤に、乾燥させたものは粉末や煎じ薬にすることができます。
歴史
ヨーロッパに持ち込まれたのは13世紀頃で、その後英国のノーフォーク・ブローズにて大量栽培され、年に1度のお祭「グラットン・ハーヴェスト」が開催されるようになりました。
18世紀頃に登場した、ショウブの根を輪切りにして砂糖に漬けた「カラマス・キャンディー」は感染症予防のトローチとして人気でした。
あとがき
今回はショウブについて解説しました。
私自身、ショウブは精々菖蒲湯くらいにしか使いみちがないと思っていましたが、昔の人はいろいろな方法で活用し、さらに使い方によっては危険なことも証明し、今あるハーブの知識は、古くから受け継いだ人々が脈々と現代に受け継いだおかげで成り立っているんだなと思いました。
今回の記事はここまでです。またの記事でお会いしましょう。