今回紹介するハーブは、聖書の時代から薬用や儀式などに用いられてきた没薬。いわゆるミルラについてです。
目次
Commiphora
読み方:コムミポラ
約180種存在する小型の落葉性低木ときがあり、殆どに棘が生えています。アフリカや西インド諸島で見られています。ミルラの名で知られるオレオ樹脂はC.gileaden(オポルバルサムム)、C.foliacea(コムミポラ・フォリアセア)、C.habessinica(ミルラ・ハベシニカ)、C.mucul(ググル)などが挙げられます。別名デリウムと呼ばれており、これらの木や樹脂のことを指します。
C.myrrha
読み方:コムミポラ・ミルラハ
非耐寒性の落葉性低木で高さと広がりは共に5m程です。中心の葉は約1mあります。雨が降った後、新しい葉が出る前に花を咲かせます。4枚の花弁に黄色と赤で、宿存萼と呼ばれる萼を持ちます。その後楕円形の7mmの実がなります。
各種利用法
利用部位:オレオ樹脂
薬用
刺激、収斂、芳香性を持つハーブです。強い刺激、去痰、殺菌、消炎、消化管機能の改善、治癒の促進作用があります。外用では口内潰瘍、外傷、腫れ物、口内洗浄剤として利用され、内服では消化不良、気管支及び耳の感染症、腺熱、扁桃腺炎、咽頭炎、歯肉炎に用いられます。
中東では聖書の時代から一般的な薬として用いられ、化膿した傷や気管支不全、特に女性の健康と清めの儀式に関連があります。
C.mukleから発見されたサポニンの一種で、抗炎症作用や関節炎、血中のコレステロールを下げる作用があることが最近の研究で明らかとなりました。
・打撲=ウィッチヘーゼル
・潰瘍=トコン
・喉の感染症=エキナセア
栽培
野生種で非耐寒性の植物です。日向で水はけの良い土地を好み、最低気温は10~15℃です。繁殖は春に種を蒔くか、生長期の終わりに熟枝挿しを行いましょう。樹脂は切った枝から採取し、乾燥させて固形化したものを蒸留してオイルに。粉末にしたものをチンキ剤や錠剤に加工すると良いでしょう。
歴史
受難の象徴でもあるこのハーブはイエスの誕生の際に、東方の3博士が捧げた3種類の贈り物の一つで、磔になったキリストの遺体防腐処理に使われていました。
中国の歴史に登場したのはAD600年頃。アーユルヴェーダでも古くから回春剤として古くから利用されていました。
聖書からの引用
創世記37章25節
こうして彼らは座ってパンを食べた。ときに彼らが目を上げてみると、イシマエル人の隊商がらくだに香料と乳香(フランキンセス)、没薬(ミルラ)とを負わせてエジプトへ下り行こうとギレアデからやってきた。
創世記43章11節
父イスラエルは彼らに言った、「それではこうしなさい。この国の名産を器に入れ、携えてその人に贈り物をしなさい。すなわち少しの乳香(フランキンセス)、少しの蜜、香料、没薬(ミルラ)ふすだしう(ナッツ)、あめんどう(アーモンド)。」
出エジプト記30章23節
「あなたはまた最も良い香料を取りなさい。すなわち液体の没薬(ミルラ)五百シケイル、香ばしい肉桂(スイートシナモン)をその半ば二五〇シケイル、におい菖蒲(スイートカラマス)二五〇シケル」
あとがき
今回はミルラについて解説をしました。
聖書にも登場するほど歴史があり、やっぱり人類は昔からいい香りのものに寄ってくる習性があり、それは本能に近いものなのかなと感じました。記憶に関しても香りと記憶は強く結びつくと聞きますし、何かに利用できそうな気がしますが自分の頭では思いつかないので、そのへんに関しては他の人におまかせします。
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今回の記事はここまでとなります。また次回の記事でお会いしましょう。
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