今回解説するハーブは、高価なスパイスとして有名なサフランです。
目次
Crocus
球根性の多年草で約80種類ほど存在し、地中海から北東へ中国西部に及ぶ地域まで野生の品種が分布しています。ほとんどの品種が観賞用か高山植物の標本として栽培される事が多いです。
属名のCrocusはギリシャ語のKrokas「糸」を語源とし、長い糸状の柱頭が由来です。
Crocus sativa
読み方:クロッカス・サティウァ
線のような葉に白い中央線の入る多年草です。秋に藤色の花が咲き、長い柱頭は黄色く、先端が三辺に別れているのが特徴です。この品種は人工的に作られた3倍体の為、種子が出来ない不稔性となっています。なので自然界には存在しません。
各種利用法
料理
ケーキなどの焼き菓子、東洋の砂糖菓子、ソース類の着色料やイタリアのリゾット・ミナレーゼ、スペインのパエリア、フランスのブイヤベースの香味料に使用されます。
薬用
刺激性のある苦甘いハーブです。主に食欲増進や循環器系の刺激、月経の調整や血圧降下などの効果が期待でき、中国漢方では‘肝臓の活力停滞’、うつや月経困難症に内服されます。
↓イヌサフランの記事はこちらです。
https://www.herbainformationstore.com/2020/08/08/colchicum/
実用
酒類の香味料や着色料、染料に利用され、純粋なサフランで染められた糸は鮮やかなオレンジ色をしており、偽物で染めた場合はお湯で赤くなり、すぐさま黄色に色あせてしまいます。
栽培品種で耐寒性があります。日向で水捌けの良い暖かな場所を好み、繁殖は春の終わりから球茎か小玉に分けて増やしましょう。この品種は夏の寒い地方でも栽培は可能ですが、花は咲かないので注意しましょう。
収穫は花が咲いたら摘み取り、雌しべを抜いて乾燥させます。長くは保たないため一年以内には使い切りましょう。
歴史
アラビア語でZa’fan「黄色」を語源とするこのハーブは、世界一高価なスパイスとされており、1kgを生産するのに花が約15万本及びおよそ400時間を必要なためです。
ペルシャ、インドを経て中国元の時代に伝わり、以降およそ4000年間使われています。その後11世紀に入り初期の十字軍の遠征以来、ヨーロッパや中東で盛んに栽培されるようになりました。
当時のサフラン栽培の中心地はスペインのヴァレンシア、ドイツのニュールンベルグ、イギリスのサフランボルデンでした。今日ではカシミールとスペインが中心となっています。
何世紀もの間高値で取引されていたサフランの中には、混ぜものや水増しによる取引が行われることがあったようです。
特に厳しかったのは15世紀のドイツニュールンベルグで、偽物だとばれた場合、その偽物と一緒に生き埋めにされたというあまりにも重い罰がくだされていました。
あとがき
今回はサフランについて解説をしました。
非情に高価で手の届きにくいスパイスで、それ故粗悪品が出回りすぎた為に厳しい罰則ができてしまったのかなと推測できますね。
余談ですがサフランの代わりにターメリックで代用が出来ますので、ドライカレーなどに使うのもおすすめです。
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今日まで書き続けることができたのは読んでくださっている人のおかげです。本当にありがとうございます。拙い記事ではありますがこれからも書き続けていこうと思うので、どうか応援して下さると大変嬉しく思います。
今回の記事はここまでとなります。また次回の記事でお会いしましょう。
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・ハーブの歴史百科 原書房 キャロライン・ホームズ
・ハーブの歴史 原書房 ゲイリー・アレン
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・ハーブティー辞典 池田書店 佐々木薫
・ハーブ大全 小学館 リチャードメイビー
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