今回解説するのはかつて北米先住民たちに重宝され、現在でも抗ウィルス作用効果が注目されているキク科のハーブエキナセアです。
目次
Echinasea purpurea
読み方:エキナセア・プルプレア
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耐寒性の根茎性多年草で真夏から初秋にかけてキク状の花を咲かせ、花壇をカラフルに彩り、切り花としても楽しめます。学名はギリシャ語で「ハリネズミ」に由来し、中央の円錐体の棘だらけな部分に因んで命名されました。またpurpreaは「紫の」という意味です。
エキナセアには9種類存在し、北米先住民の主な傷の手当の方法の一つとして利用されていました。特にプレインズの部族たちは万能薬として重宝され、、米国国定処方書(1916~50年)にも記載されているほか、今日西欧では循環器系やリンパ系、呼吸器系の最も効果的な解毒剤としてみなされており、またヒンドゥー教アーユルヴェーダの医者も取り入れています。
その他の品種群
E.p”Robert Bloom”
読み方:エキナセア・プルプレア ”ロバートブルーム”
中央は茶色で、紫紅がかったピンクの舌状花が広がっている色の濃い品種です。ノーフォークのブレッシンガムで開発された品種です。
E.p”white swan”
読み方:エキナセア・プルプレア ”ホワイトスワン”
この品種は基準種よりも小さく、舌状花は白いです。種子から育てる事が可能な品種の中で垂れ下がる品種に似ています。
E.p”angstiforia”
読み方:エキナセア・プルプレア ”アングスティフォリア”
学名は「細葉の」という意味で、和名だとホソバエキナセアとも呼ばれており、抗炎症作用や保湿作用などがあります。
E.p”pallida”
読み方:エキナセア・プルプレア ”パリダ”
学名のPallidaは「色の淡い」という意味で、大きく細いピンク色の花弁が魅力的です。
各種利用法
利用部位:葉、花、根茎
ハーブティー
癖がなく飲みやすいためシングルでもブレンドでも楽しむことが出来ます。別名「インディアンのハーブ」とも呼ばれているほか免疫力を活性化させる作用があるため、花粉症対策にこのハーブティーを飲み続ければ効果があると言われています。
薬用
苦く、僅かに芳香のある変質性のハーブで、免疫機構の刺激、治癒促進、抗ウィルス、抗細菌作用があり、対応する症状は皮膚疾患、真菌感染症、敗血症、膿瘍、治りの遅い傷、性病、風邪や咳の初期症状に内服できる他、外用ではヘルペス、ニキビ、乾癬、傷の化膿に有効です。
免疫力が弱っているときに起こる一般的な症状や感染を予防するためにも使われ、膀胱炎などの泌尿器感染症、扁桃腺炎、腺熱など急性の感染症から慢性の感染症、リンパ腺などの腫れにも利用します。またエキナセアは感染症を抑える白血球の生産を促進し、成分中の多糖類は抗ウィルス作用を持つことが最近の研究で明らかになりました。ここでエキナセアに含まれる代表的な成分の一つ、フェニルプロパノイド配糖体について詳しい文献があったのでご紹介。
フェニルプロパノイド配糖体
エキナセア・アングスティフォリアとエキナセア・パリダに含まれる三糖類(ベルバスコシド※に似た化学構造をしており、糖を一つ多く保有している)のエキノコシドは抗生物質様作用と抗ウィルス作用があることが立証され、かつてはエキナセアに主となる成分だと考えられていました。エキナセアに含まれるエキノコシドと他のフェニルプロパン誘導体物質には、抗酸化作用に加えて紫外線からのダメージによるコラーゲンの破壊から肌を守る働きがあると立証されています。(Facino et al 1995)。しかしながら後の研究で、エキナセアに含まれる別の化合物(アルルキルアミドや多糖類など)が、極めて強い影響を与えていることが明らかになりました。
ハーバリストのための薬用ハーブの化学 頁54,55より抜粋
エネルギーとしての働き
暑いと感じるほどの強い流れが、喉元から肺、胃腸を通り、血やリンパの流れに沿って全身へくまなく流れます。ポカポカと暖かくなるだけでなく、体が手放すべき余分な熱を外に流してくれます。毒素が浄化され、組織が活性化し、水や気の滞りを押し流してくれるような強い動きを感じることが出来るでしょう。
英国流メディカルハーブ 頁76より抜粋
栽培
園芸用品種で耐寒性があります。日向で水はけの良い肥沃な土地を好みます。春に種を蒔くか冬の終わりに挿し根をする、休眠期に株分けをするなどの方法で繁殖させることが可能です。収穫は根と根茎を秋に掘り上げて乾燥させたものを煎じ薬、成分抽出液、成分浸出液、粉末、チンキに加工します。
花言葉
ネイティブアメリカンが様々な痛みに利用していたことから「優しさ」、「深い愛」、「あなたの傷を癒やします」という花言葉が付きました。普段言えない感謝の言葉を花に乗せてみてはいかがでしょうか?
歴史
何度も書いてますがアメリカ先住民によって古くから薬用に利用してきていました。しかし、19世紀に入るまで処方に関しての研究はほとんどされていませんでした。注目を浴びるようになったのはネブラスカ州の自然療法士H.C.Fメイヤーがホップやヨモギと共にエキナセアを使った血液浄化剤製作、販売したことにより注目を集めました。余談になりますが日本に入ってきたのは大正の末期頃だとされています。
あとがき
今回はエキナセアについて解説をしました。
このハーブは古くから使われていてその薬効が科学によって裏打ちされることによって素晴らしいハーブということが判明し、抗ウィルス作用もあることから昨今流行りのコロナウィルスにも効果があると嬉しいですが、科学的根拠があるのかはまた別問題です。
最近はマイナーなものばかりを取り上げていたので今回は久しぶりに中身のある記事となったのではないでしょうか?
一般的なハーブはこれくらい情報があるのですが、マイナーなものはどうしても内容が薄くなりがちとなり、読み手側からすると物足りないと感じてしまうでしょうが、その点は私の調査不足な為本当に申し訳ないです。
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今日まで書き続けることができたのは読んでくださっている人のおかげです。本当にありがとうございます。拙い記事ではありますがこれからも書き続けていこうと思うので、どうか応援して下さると大変嬉しく思います。
今回の記事はここまでとなります。また次回の記事でお会いしましょう。
・ハーブのすべてが分かる辞典 ナツメ社 ジャパンハーブソサエティー
・ハーブの歴史百科 原書房 キャロライン・ホームズ
・ハーブの歴史 原書房 ゲイリー・アレン
・ハーバリストのための薬用科学 フレグランス・ジャーナル社 アンドリュー・ペンゲリー
・ハーブティー辞典 池田書店 佐々木薫
・ハーブ大全 小学館 リチャードメイビー
・ハーブ大百科 デニ・バウン 誠文堂新光社
・エッセンシャルオイルデクレファレンス 第6版
・エドワード・バッチ著作集 BABジャパン エドワード・バッチ