今回解説するのは、数々の伝承の中で引き抜くと命を失ってしまうと言われる伝説上の植物マンドレイクの元ネタ・・・
にちかい品種の“イングリッシュマンドレイク”をご紹介。
Bryonia dioica
生態
読み方:ブリオニア・ディオイカ
約10種がユーラシア大陸、北アフリカ、カナリー諸島に分布しています。
種名のbryoniaはギリシャ語のbryo「芽」に由来し、毎年塊茎から芽を出すことに因みます。
種小名のdioicaは「雌雄異株」という意味で、別々の株に雄花と雌花が咲くことに由来します。
大きな塊茎に筋張った茎、手のひら状の葉を持つ蔓性の多年草です。
淡い緑色の五弁花を咲かせ、花後に赤い実を付けます。
雄花と雌花の違いは柄の長さで見分けが付き、長いほうが雄花、短いほうが雌花です。
各種利用法
利用部位:根
栽培
野生種で耐寒性があります。日向の水捌けの良い中世からアルカリ性の土壌を好み、繁殖には秋に種を蒔くか、休眠期に株分けをします。
蔓が早く伸びるため野生庭園や目隠しに最適です。収穫は秋に根を掘り上げて、薄切りにしたものを乾燥させてから成分抽出液に加工します。
薬用
苦い下痢性のハーブです。組織の刺激、末端血流の増加、抗腫瘍、抗リューマチ作用がある子で知られます。かつては気管支の不調、喘息、腸の潰瘍、高血圧、関節炎に内服し、筋肉痛、関節痛、胸膜炎の発赤薬に外用として使用されていました。
歴史
B.albaという品種と近縁であり、この品種は黒い実を付け、ホメオパシー療法に使われます。
古くからハーブショップに吊り下げられており、多くは本物のマンドレイクに似せたものが多かったようです。
1653年に出版されたニコラス・カルペパー著『英国医師増補版』では、”女王陛下の外科主任が・・・見せてくれた根は重さ50ポンド、大きさはい歳児ほどの大きさであった”と記録に残っています。
Bryonia dioica
まとめ
北アフリカなどを原産とするつる植物でアルカリ性の土壌を好む。実際にひきぬいても死ぬことはありませんのでご安心を。
ですが大量に摂取すると本当に死ぬ可能性があるので扱う際には十分お気をつけて。