今回は動物性香料の代表、麝香について解説。
目次
そもそも麝香って?
簡単に言うと、ジャコウジカから取れる香料。
主に中国の雲南、四川、山西省ジャコウジカやシベットなどが該当し、この分泌する器官を麝香腺という。
この麝香腺を乾燥させたものを指し、香気成分はムスコンといい、0.4%~3.8%含む。
効能と用途
主な作用として
・解毒
・興奮
・強心
・鎮静
などに使われる事が多く、家庭製薬原料として利用される事が多い。
高級香水や薫香料に配合する動物性の香料の一つ。
日本での使われ方の歴史
日本でも麝香は使われており、その歴史を紐解くと、平安時代まで遡る。
当時の薫物作りのとき、麝香が使われたレシピが多数残っており、代表的な“六種の薫物”の殆どに使われている。
当時は非常に重要な香料の一つだったことが、伺える。
春「梅香」
梅の花になぞらえた華やかな香り
夏「荷葉」
蓮の花になぞらえた涼しい香り
秋「菊花」
菊の花に似たにおい
冬「落葉」
木の葉散る頃のあわれのにおい
上記4つの季節を問わない2種類
「黒方」
身に染み渡る香り
「侍従」
秋風が吹くようにもののあわれを感じさせる香り
参考にした資料
http://www.kaorihanafusa.jp/history/history03.html
しかし、淡く、軽い香りに慣れた現代人にとっては、麝香由来の重く個性的な香りは馴染みにくい模様。
室町時代
この頃の記録では、端午の節句の飾り物として調整される薬玉。
花飾りの中央に麝香などの香料を入れた珠を飾ると言われている。
訶梨勒と同様に、舶来の貴重な香薬が転じて、邪気払いのシンボルとされた。
現在の麝香
現在では自然のものの数が減少しているため、もととなるジャコウジカはワシントン条約により保護されている。
香料として合成ムスクが作られ、これが広く一般的に使われるようになった。