香りの逸話と歴史

トリュフ

今回は世界三大珍味の一つであるトリュフについて掘り下げていく。

トリュフ
概要

学名:Tuber melanosorum Vitt.
和名:セイヨウショウロ

フランスやスペイン、イタリアで産するセイヨウショウロ家の地下性キノコの総称。

最高級のトリュフは主産地のフランス、ボルドーの東にあるペリゴール。

この地方の名前にちなんで、“ペリゴール・トリュフ”の名で珍重されている。

フランス料理やイタリア料理に用いられる高級食材で、ブラックダイヤモンドとも呼ばれて取引されている。

見た目の特徴

球形で、大きさは3-5cm程度。多角形のいぼがあり、肉は白から黒色をしている。

コナラやカバノキに菌根をつくり、地中に子実体を作る。これがいわゆるトリュフと呼ばれているもの。

探し方

トリュフが生えている地上近くでは、メスの豚や訓練された犬の嗅覚を利用して探す。

ほかにもトリュフが生える地上付近では、ハエが円を描いて飛んでいるため、それを目印にするのもよい。

トリュフの香り

香りを味わうためには、次の4つの方法がある。
①オムレツ

②コンソメスープ

③スライスしてバターソテーにしてフォアグラの上に

④スライスしてグリーンサラダに

純粋に香りを楽しむにはオムレツがベスト。現在では高級料理の中で、黒い小さなツブツブとなって現れる事が多い。

白トリュフもあり、黒よりも香りが強く、オレンジの果皮のような香りが遠くでするとか。だが品質では、黒より劣る。

黒トリュフの香りは以下の感じ

奈良漬のアルコールが混じったツンとした香りと、濃くなった醤油の香気がまざっていた。強く嗅ぎ込むと、奥の方でゆで卵の黄身の匂いに似たほこっとした香りがあった。花から遠ざけて嗅ぐと、ボラの卵の燻製のカラスミのような香りも感じられた。

香りの百科事典 頁567より抜粋

日本のトリュフ

意外にも、国内で食用のトリュフが11種類見つかっている。

初めて発見されたのは、京都の長岡京市の山中で、1983年に日本菌類学会で発表された。

和名をイボセイヨウショウロといい、ヨーロッパの高級品とされるものとは種類が異なる。

発見者の高山栄さんは、「醤油が濃く煮詰まったような香り」と評した。

トリュフの
香気成分

◇エタノール
◇2-メチル-1-ブタナール
◇2-メチルブタナール
◇2-メチルプロパナール
◇アセトン
◇ジメチルサルファイド
◇2-ブタノン
など。

興味あることに、RーClausらは、ステロイドフェロモンのアンドロステナールを見出したと言われる。

これは豚の体臭に含まれる成分で、フェロモン効果を持っている。そのため、雌豚が地中のトリュフを発見できるのだと述べた。

この成分は、ムスクや白檀にも含まれ、ソフトで快い香りだが、人の体臭にも含まれている。

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