今回解説するのは、ラベンダー?いいえ。別物です。
そんなそっくりな見た目のハーブ、スパイクナルドについて掘り下げていきます。
目次
スパイクナルドって?
学名:Nardostachys jatamansi DC.
和名:甘松香
英名:spikenard
俗名:ナルド、あるいはスパイクナルド
分類
科:オミナエシ科
属:ナルドスタキス属
かつてはナルドと呼ばれていたが、後にスパイクナルドと呼ばれるようになった。
種小名のjatamansiは、サンスクリット語で“薬草”を意味する。
原産地はネパールやブータン、ヒマラヤ山系の高山地帯で、根茎から香料を得ることが可能。
スパイクナルドの
使われ方と歴史
古代ギリシャ、ローマ時代では、遠いインドから輸入する必要があったため非常に高価なものだった。
そのためごく特別な場合にのみ使われ、賓客が来た際に花の冠を乗せ、ナルドの香油を頭に注いだ。
裕福なユダヤ人女性の間で愛用され、珍重されたほか、ヘブル人も死者を葬る際に用いてた。
特に高級品とされたのは、アラバスター(雪花石膏)製のツボに入れられて輸入されるほど。
日本では749年(天平19年)の法隆寺資財帳に甘松香が記載されており、仏教儀式の焚香料として用いたと言われている。
聖書から見る
スパイクナルド
聖書のなかではこんな風に扱われている模様。
王様を宴に誘うほど、私のナルドは香りました。恋しい方はミルラの匂い袋、私の乳房の間で夜を過ごします。恋しい方は薫り高いコフェルの花房、エン・ゲティのぶどう畑に咲いています。(雅歌1:12-24)
キリストの弟子、聖女マグダラのマリアは、娼婦の生活から罪を悔い改めて信仰の道に入り、イエスに献身的に仕えた。
彼女はベタニアで、癪病の人シモンの家で、高価なスパイクナルドをイエスの頭に塗布した。(『新約聖書「マルコ伝」第26章』)
「ヨハネ伝」と「ルカ伝」ではマリアが主の足に香油を注いで、それを髪で拭うという記述がある。
ここでは2つの意味があり、一つは油を頭に注ぐのは、神に選ばれた人物を、メシア(救世主)や王とする旧約的な時代背景。
もう一つは、イエスを葬るための準備である。彼への油は、彼の力で王になるのではなく、死によってメシアになることを意味する。
製法
ごぼうに似た根茎と若い茎を乾燥させて利用する。また根茎と若い茎に芳香成分があるので、油に溶かして抽出する。